桂枝湯(けいしとう)は、漢方医学の聖典とされる「傷寒論(しょうかんろん)」の太陽病篇、その最初に登場する方剤です。
まさに「基本方剤中の基本方剤」と呼ばれる存在で、漢方の原点ともいえる処方です。
現在の教科書的な位置づけでは、
「体力がやや弱く、汗がにじむような風邪の初期」
に用いる方剤と説明されます。しかし臨床の場では、目にすることが少ない方剤です。
大塚敬節先生は著書の中で、桂枝湯を 解肌(げき)の剤 と表現しています。
※解肌とは“肌を和して調える”という意味
つまり桂枝湯は、いわゆる発表剤ではなく、体表の機能が弱っているときに、それをそっと鼓舞して整えてくれる方剤なのです。
血行を促しながら、あるべき状態に導く。
──こうした回復のプロセスを助けてくれます。
そして桂枝湯は「衆方の祖」とも言われ、加減方が多く存在します。
桂枝加黄耆湯、桂枝加葛根湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、桂枝加芍薬湯、小建中湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、桂枝加桂湯──など、いずれも桂枝湯を骨格に持つ方剤です。
これほど多くの重要処方の基礎となっていることからも、桂枝湯はまさに「漢方の原点」といえるのだと思います。
