ここ数日、落ち着かない天気が続き、なんとなく心や身体の調子が揺らいでいる方も多いかもしれません。天気予報で「雨」の文字を見るだけで、気持ちが沈んでしまう──そんな声もよく聞きます。
急な気圧や湿度の変化に、身体の調整機能がうまくついていけないことが、その一因と考えられています。
漢方では、こうした状態を「痰飲(たんいん)証」という概念でとらえます。
ここでいう“痰”とは、現代医学でいう喀痰だけではなく、体内の水分全般を含む広い概念です。つまり「痰飲証」とは、身体の水のめぐりが滞り、バランスを崩している状態を指します。
大塚敬節先生は著書の中で、
「人間の身体の約70%は水であり、水の代謝に障害が起こり、その運行や分布が円滑さを欠くと、さまざまな症状が引き起こされる」
と述べています。
現代医学には利尿剤という選択肢があり、作用する部位は異なっても、共通して“体液量を減らすこと”を目的としています。
一方、漢方の水をさばく方剤は、単に利尿を促すのではなく、「偏った水の分布を整える」ことに重きを置きます。大塚先生のいう“水の運行の乱れ”を調整することで、結果として多彩な症状──下痢・嘔吐・尿量減少・浮腫・動悸・めまい・耳鳴り・頭痛・倦怠感・関節痛・咳・喘鳴・口渇──に応用されます。
季節の移ろいを心地よく感じるためには、まず自分の内側のバランスを整えておくことが大切です。
揺らぎやすいこの時期こそ、身体とゆっくり対話しながら、無理のないペースで日々を過ごしたいものですね。
