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ご相談事例

頭痛

症例①
20代 女性
脳神経外科に通院中。内服薬として、トリプタノール、トリプタン製剤、ロキソ二ンを内服するとともに、月1回の片頭痛治療薬の皮下注射を継続していたが、十分な効果は得られていなかった。
天候変化、特に急激な気圧低下に伴い頭痛を高頻度で発症し、関連症状も多岐にわたり、日常生活に支障をきたす状態が続いていた。

頭痛発作時には口渇や排尿困難を伴うことから五苓散を用いたが改善は見られず、類似方剤へ変更したところ、約2週間で体調に変化が現れ始めた。
煎じ薬開始前には痛みが10段階評価で10であったが、2~3程度まで安定し、同時期に月1回の皮下注射を中止しても悪化は認められなかった。
春先の天候不安定な時期を迎えても状態は良好に維持されていた。

その後、方剤の微調整を行ったところ、痛みは1~2程度までさらに軽減。
現在も状態は安定しており、煎じ薬を継続している。

■頭痛の種類とその原因について
頭痛は、日常生活の中で多くの人が経験する症状であるが、その背景にはさまざまな原因と発生機序が存在する。脳や他の疾患に原因がなく起こる「一次性頭痛」と、疾患や外的要因が原因で起こる「二次性頭痛」に分類される。
一次性頭痛は、「片頭痛」「緊張性頭痛」「群発性頭痛」の三つの主要なタイプに大別される。

1. 片頭痛(Migraine)
頭痛の中でも特に生活の質への支障が大きいとされ、繰り返し起こる拍動性の痛みを特徴とする。痛みは頭の片側で生じることが多いが、両側に広がる場合もある。発作中は、光や音、においに対する感受性が高まり、暗く静かな場所で休みたくなる人が多い。また、吐き気や嘔吐を伴うケースも少なくない。前兆と呼ばれる視覚異常(光がちらつく、視野が欠ける)が発作前に現れる場合もある。

片頭痛の発生には、脳内血管の拡張と三叉神経系の活性化が関与していると考えられ、こうした反応を引き起こす要因として、睡眠不足、ストレス、疲労、気圧の変化などの生活環境要因が挙げられる。また、チョコレートや赤ワイン、チーズといった特定の食品、さらにホルモンの変動が誘因となることもある。特に女性では月経周期と関連して発作が起こりやすく、片頭痛の有病率が高い。

2. 緊張性頭痛(Tension-Type Headache)
日常で最も頻繁にみられる頭痛であり、頭全体が締めつけられるような鈍い痛みが特徴である。片頭痛ほど強くはなく、身体を動かすことで悪化することも少ないため、日常生活はある程度維持できることが多い。

原因としては、首や肩、後頭部の筋肉が緊張し続けることによる血流の悪化や、精神的ストレスによる筋緊張の増大が挙げられる。また、心理的要因が大きく関与するため、ストレスが蓄積した状態が慢性的な痛みを引き起こすこともある。筋緊張と精神的負荷が複合的に作用し、頭痛の発生につながっている。

3. 群発性頭痛(Cluster Headache)
群発性頭痛は、一次性頭痛の中で最も激しい痛みを伴うと言われる。痛みは主に頭の片側、とりわけ目の奥を中心に生じ、えぐられるような強烈な痛みが1〜3時間続くことが多い。さらに、涙が出る、鼻水が流れる、目が赤くなるなど、同じ側の顔面に自律神経症状が現れるのが特徴である。これらの発作が、数週間から数ヶ月にわたり、ほぼ同じ時間帯に連日繰り返されることから「群発」という名称が付いている。

明確な原因は解明されていないが、体内時計を司る視床下部の機能異常が関与していると考えられている。発作期間中にはアルコールが強い誘因となることがあり、この時期に飲酒するとほぼ確実に頭痛が誘発されることが指摘されている。また、男性に多いことも特徴である。

西洋学的治療では、疼痛の軽減や発作予防を目的に、急性期にはNSAIDsやトリプタン製剤で痛みを直接抑え、β遮断薬や抗てんかん薬などの予防薬で発作の頻度や強度を下げる。一方、漢方治療では、頭痛を単なる痛みとして捉えず、全身の生理的・心理的状態や体質との関連を重視する。痛みを抑える生薬のみで構成される方剤はなく、血流や水分代謝、神経系の過敏性(自律神経のバランス)、消化機能などを総合的に考慮して治療を行う点が特徴である。また、漢方薬は西洋薬のような胃腸障害や血圧変動、眠気、依存性などの副作用リスクが極めて少ないことも利点である。

■頭痛の代表方剤
▢呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
発作性の激しい頭痛をくり返すタイプに用いる機会が多い。
足の冷え、胃のあたりに圧重感や詰まった感じを訴えて気の動揺が激しく興奮状態を呈することが多い。発作時には痛む側の肩から後頭部にかけて強い凝りをしばしば訴える。必ずしも片頭痛に限った方剤ではなく、五苓散や半夏白朮天麻湯など鑑別を要する。

▢五苓散(ごれいさん)
漢方で湿証に対処する代表的な方剤である。
一般的に浮腫みの漢方として用いられているが、証に適合する場合を除いて効果をしめしにくい。胃腸内、体腔官外の水を血中に移行し尿利をつけることから、水の偏在を正す方剤とされる。

▢苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
尿量が比較的少なく、胃内停水があり、気の上衝によるめまいや身体動揺感、心悸亢進などを目標とする。起床時に怠く、夕方にかけて体調が良くなる体質に適合する場合が多い。
構成生薬の桂枝、茯苓は気の上衝による動揺性症状を正し、茯苓・白朮は水の順行を良くする作用を持つ。類方に茯苓沢瀉湯、苓桂甘棗湯、苓桂味甘湯、茯苓甘草湯などがあり鑑別を要する。この種の苓桂剤に関して、一般的な細粒剤と煎じ薬ではその効果にとても大きな差を持つ実感がある。

▢半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
主要骨格は六君子湯で、鎮痙作用を有する天麻を中心に消化健胃薬、澤瀉や乾姜などの燥性生薬が加わり構成される。
メニエールや眼振性めまいに用いる機会が多いが、胃腸虚弱者の水毒性の頭痛症状が目標となる。頭にかぶさったような重苦しさや、眉間のあたりから額、頭頂部にかけて痛みが甚だしいこともある。平素から胃腸が弱く、血色がすぐれず、易疲労、食後に眠気を催しやすく、手足が冷えると訴える人にみられる頭痛に用いる。

▢釣藤散(ちょうとうさん)
構成生薬に石膏が含まれるため、熱証であることを基本とする。
主薬の釣藤鈎には、肝気を平らかにして神経の異常興奮を調節する能があるため、気逆や高血圧、動脈硬化に伴う頭痛に効果がみられる。拡張期血圧が高く、早朝覚醒時に頻発するタイプに用いる機会が多い。
釣藤鈎を主薬とした方剤に七物降下湯があるが、こちらは血虚がみられる虚証体質に用いる場合がある。

▢その他
桂枝人参湯(けいしにんじんとう)
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
桂姜棗草黄辛附湯(けいきょうそうそうおうしんぶとう)
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
葛根加朮附湯(かっこんかじゅつぶとう)
葛根湯(かっこんとう)
川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)
抑肝散加芍薬黄連(よくかんさんかしゃくやくおうれん)
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
など

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