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ご相談事例

感染症後に残存した心身不調

9才
1カ月ほど前に風邪をひいてから、熱や咳といった急性症状は落ち着いたものの、「なんとなく元気が戻らない状態」が続いているとのことでご相談にいらした。
疲労倦怠を訴え、以前は好きだった外遊びにもあまり気が向かず、気分の浮き沈みや不安感が目立つようになったという。

お話を伺う中で、喉の奥につかえる感じが軽度ではあるが認められ、「梅核気(ばいかくき)」の傾向がうかがえた。
梅核気とは、西洋医学の「咽喉頭異常感症(ヒステリー球)」に相当し、検査でも異常はなく、実際に異物が存在するわけではないにもかかわらず、喉に何かが詰まっているように感じる状態を指し、精神的緊張や自律神経の乱れを背景として現れやすい身体症状である。

また、胸脇部には若干の重苦しさがあり、軽度の「胸脇苦満(きょうきょうくまん)」がみられた。胸脇苦満は、肋骨の内側から脇腹にかけて張りや抵抗感が生じる状態で、心身の緊張や調整の乱れを反映して現れやすい。
さらに、みぞおちの辺りのつかえる感覚を訴えており、心下支結(しんかしけつ)の状態も確認できた。
これらの状態は、感染症を契機とした自律神経の乱れを背景に、急性期を過ぎても緊張状態が持続することで、横隔膜周囲や上腹部の筋緊張が高まり、胸脇部の張りやみぞおちのつかえとして表れているものと考えられた。

以上の所見から、風邪をきっかけに「少陽病期(しょうようびょうき)」で回復が停滞している段階と判断した。
漢方では、回復途中で体のバランスが揺れやすい時期を「少陽病期」と考える。急性症状はすでに治まっているものの、体の緊張や調整の乱れが残り、心身のバランスが崩れたままになっている印象であった。

成長期のお子さまでは、このような状態が疲れやすさや気分の不安定さとして表れやすい。そこで今回は、寒熱の揺らぎを整えながら、胸脇や心下のつかえをやさしくゆるめることを目的に、煎じ薬を調合した。

ご本人にも飲みやすく、無理なく続けられる形で服用を開始したところ、服用開始後5日ほどで表情は次第に明るくなり、不安を訴える場面も減少。
2週間ほど経過したころには体調が安定し、飲み忘れてしまう日が出るほどまで回復した。
気がつけば以前のようによく遊び、元気な声が戻ってきた。

体は不調というかたちで適切なサインを発しており、その変化を丁寧に見極めながら調整を行うことで、回復の流れを後押しすることができた症例であった。

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