症例①
70代 女性
関節(四肢、指)の痛みと浮腫があり、趣味の裁縫にも支障が出ている。
整形外科に通院し、リウマチなど様々検査を行ったが原因が分からないという。
痛み止めと防己黄耆湯のエキス細粒を一定期間服用しているが、最近は効果を感じないようだ。
下腿部は特に浮腫むので膝を折って座ることには非常に苦痛を感じる。
既に症状は慢性化しており、雨や寒冷で症状の悪化の傾向もある。
風湿相搏の状態であり、特に全身の痛みはひどい。
この場合には、除湿利尿作用のある朮や薏苡仁などを配剤しつつ、わずかに発表させる必要がある。慢性期には血滞を起こすこともあり、当帰などの活血作用を有する方剤が候補にあがった。
麻杏薏甘湯より重症例と考えて方剤を選定した。
2週間後、痛みと浮腫みがかなり軽減している。
胃腸の負担も考慮して、その後は1日1回に調整したが状態の悪化はないため、現在廃薬に向けて調整中である。
▢関節痛に用いる漢方薬
麻黄加朮湯(まおうかじゅつとう)
麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)
越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
防己黄耆湯(ぼういぎおうぎとう)
防已茯苓湯(ぼういぶくりょうとう)
薏苡仁湯(よくいにんとう)
疎経活血湯(そけいかっけつとう)
桂枝芍薬知母湯(けいししゃくやくちもとう)
大防風湯(だいぼうふうとう)
甘草附子湯(かんぞうぶしとう)
桂枝附子湯(けいしぶしとう)
桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
真武湯(しんぶとう)
など