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ご相談事例

起立性調節障害

症例①
13歳 女性
1年程前から症状に悩まされており、最近は思うように登校できていない。
総合病院や遠方の相談漢方にかかり、メトリジンや複数の漢方薬(粉薬)の処方を受けているが改善はみられないという。
母親が毎朝起床の声掛けをするが起き上がることができず、立ち上がるとめまいやふらつきが顕著に現れるため、しばらくじっとしている。午前中は調子が悪く、午後になるにつれて状態は良化する。
朝食は摂れずに、口にしても味覚が乏しい。逆に夕食は味覚は冴えて美味しいと感じる。夕食後しばらくすると空腹感があり夜食を摂りたくなることもある。飲み物は冷たいものを好む。

~起立性調節障害は自律神経のバランスの乱れによって生じる症状といわれており、自律神経の調節は環境や精神的なストレスなども深く関わりがある。小学校高学年から中学校の思春期は心や身体の成長が著しく、この時期は自律神経の調節がうまくいかずに一時的にバランスを崩しやす状態になっている。
起立性調節障害にみられる症状は、フクロウ型と呼ばれる体質に酷似していると言われている。
フクロウ型は朝が苦手で午後になるにつれて元気になる。寝付きは悪く、体力がなくて疲れやすい。めまいや頭痛などに悩まされることが多く、日常生活にも支障をきたす体質のことをいう。対比してヒバリ型は早起きが得意で起床後すぐにエンジンがかかり活動性が高い。決まった時刻には眠くなり寝つきも良い。~

このフクロウ型タイプの症状には苓桂剤を基本にした方剤が奏効することが多く、真っ先に選択肢に上がった。煎じ薬と粉状の薬(エキス剤)とでは、その効果に大きな差があるので迷わず煎じ薬を選定した。
2週間後、お話を伺うと服用開始2日目から起床時の倦怠感が軽くなり今は半減しているという。
あまりの効果の速さに驚いたが、私以上にご本人、お母様が驚いていた。
方剤の微調整を行い2週間後の状態を伺うと、起床時の倦怠感やふらつきは消失しており、通常の時刻に起床できているという。
現在は煎じ薬を継続しながら毎日登校できている。

症例②
15歳 男性
小学6年生で発症し、その後は一時的に改善に向かうこともあったが、悪化するなど繰り返している。
頭痛、吐き気、倦怠感、腹痛、入眠障害、咽頭部痛、こむら返り、蕁麻疹など広範囲に症状を認める。
これまで、薬物療法を行ったことはない。
思春期特有の精神不安も抱えている。
飲み物の好みや摂取の仕方を確認したところ、冷えたオレンジジュースや牛乳などを特に好み、一度にゴクゴクと飲みたくなるという。何となく浮腫む傾向もある。
やはり苓桂剤の類が候補に挙がるが、細かな体質からその選択も変わってくる。
経験上、特に起立性調節障害には煎じ薬が優れており、今回も煎じ薬を調合した。
2週間後、服用開始10日目あたりから起床時の倦怠感が軽減し、目覚めも良くなっているという。
頭痛はあるが、程度が軽く、体調が良い。朝食は相変わらず無理やり食べている。今は、足の攣りが一番気になっている。
この時点での自己評価は10段階スケールで6~7程度までの改善であった。
肝経に帰経する方剤を合方し方剤の微調整を行い、煎じ薬を調合した。
2週間後、頭痛や起床時の倦怠感はかなり軽減して、気にならない程度。目覚めも良い。
ただ、喉の痛み(違和感)や蕁麻疹が気になるという。
方剤の調整を行い、喉の痛みは解消し、頭痛も消失している。全体的に体調が改善しており、自己評価で2程度で安定している。
現在は新年度から1度も休むことなく、毎日登校できている。

▢起立性調節障害に用いる漢方
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
五苓散(ごれいさん)
桂枝加桂湯(けいしかけいとう)
苓桂味甘湯(りょうけいみかんとう)
茯苓沢瀉湯(ぶくりょうたくしゃとう)
茯苓甘草湯(ぶくりょうかんぞうとう)
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
連珠飲(れんじゅういん)
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
九味檳榔湯(くみびんろうとう)
六君子湯(りっくんしとう)
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
など

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