30代
半年ほど前から、首・肩こり、頭痛、急なめまい、不安感、吐き気が続くようになった。症状が強い時には、動悸と強い恐怖感を伴うパニック発作を起こすこともあった。
詳しく経過を振り返ると、生活環境の変化や精神的な負担が重なる時期があり、その頃から徐々に症状が現れるようになっていた。責任感が強く、無理を重ねながら日常生活を送っていた。
月経前には症状が悪化し、比較的強い月経痛を認めた。月経血の性状や慢性的な肩こりから、骨盤内だけでなく全身の細かな血液の流れ(微小循環)の滞りも病態に関与していると考えた。
自律神経の不調では、頭痛は頭痛、吐き気は吐き気というように、一つひとつの症状が別々に起こっているとは考えにくい。それぞれが影響し合いながら、一つの病態を形成していく。
神経の緊張が続くことで、循環や消化管など身体のさまざまな働きに影響が及び、動悸や吐き気、めまい、不安感が重なって現れる。さらに、筋肉の緊張が持続すると微小循環も低下しやすくなり、首・肩こりや頭痛が慢性化する。水分代謝の乱れが加われば、めまいや吐き気はさらに改善しにくくなる。
身体の不調は精神的な負担をさらに大きくし、その負担が再び自律神経の働きを乱す。この悪循環が繰り返されることで、症状は互いに影響し合いながら持続しやすい状態となる。
そこで本症例では、神経の過敏な反応を鎮め、自律神経の働きを安定させることを治療の軸とした。そのうえで、胃腸の働きと水分代謝を整え、微小循環を改善することで、首・肩こり、頭痛、めまい、吐き気、月経痛までを一連の病態として整えることを目標に煎じ薬を作成した。
服用開始後、2週間ほどで不安感は徐々に軽減し、めまいと吐き気は改善した。その後、3か月を経て首・肩こりや頭痛も軽快し、症状が強い時にみられていたパニック発作もほとんど起こらなくなった。月経前の体調悪化や月経痛も以前より軽くなり、日常生活は安定して送れるようになった。
本症例を通して改めて感じたのは、一つひとつの症状を個別に捉えるのではなく、それらを一つの病態として捉えることの重要性である。