症例①
中学3年生 男性
高校受験を間近に控えた2月に、腹痛の症状に悩まされていると相談にいらした。
半年ほど前の秋口から下痢と便秘をくり返す便通異常がみられ始めていたが、日に日に悪化しており、最近は起床後に腹痛が酷く、登校時間に間に合わない日が増えている。内科を受診したが特別問題は見当たらない。整腸剤の処方を受け、様子をみたが一向に良くならない。
元来、緊張しやすい性格で緊張すると気分が悪くなることがあり、朝礼などの場面で調子が悪くなることがあったという。相談にいらした際もやはり緊張している様子が見受けられた。
動悸の自覚はないが、緊張すると上に突き上げて詰まるような感覚はあるという。
下腹部の拘急、発作性の上衝を目標に方剤を選定した。
2週間服用を継続して胃部不快感はあるが、腹痛はほとんど軽快した。
登校時間にも間に合うようになり、約1カ月半服用を継続。
合格発表後に笑顔で来局され嬉しい報告をしてくれた。
症例②
中学1年生 男性
3カ月ほど前から、突然体調を崩して登校できなくなってしまった。少しずつ登校できるようになってきたが、最近になり急な緊張症状からパニックを起こして腹痛、吐き気、酷いと嘔吐するようになった。
総合病院で複数の漢方薬による治療を進めているが、一向に変化がみられないという。
上衝や心悸亢進、のどが渇いて水分を常に欲する様子などから苓桂剤を選定した。2週間服用を継続し様子を伺うと、緊張する場面での状態に大きな変化はなく奏効している様子はない。
体調を崩すあたりで、運動性チック様症状がみられたこと、ある仕草が頻繁にみられたことなどから、方剤を変更した。2週間後服用を継続すると、急迫性の症状は軽減し始めて、更に内服継続すると緊張状態での嘔吐は消失した。日に日に状態は良化して日常生活に支障はなくなり、現在も継続中。