症例①
20代 男性
2週間ほど前にかぜを引き、花粉症の発症も重なり体調がすぐれない。
数日前から吐き気があり、起床後にえずくこともあるが全く気にならない時間帯もある。
咽頭痛や咳症状は軽快しており、どの診療科を受診すべきか悩み困っていたという。
詳しくお話を伺うことにした。
転職したばかりで、仕事のストレスも抱えている様子がある。
元来、下痢しやすい体質で今もお腹がゴロゴロしている。
胸や脇腹あたりが清々しない。喉やみぞおちのあたりに痞えた感じがするとおっしゃる。
心下に痞硬を来し、上下に動揺を起こして嘔吐、下痢などを起こしているものと考えた。
少陽の病位に属するものであり、心下の痞硬を除き、瀉心(升降の気を順通)する煎じ薬を調合した。
2週間服用していただき、症状は解消したため漢方薬を終了した。
※「瀉心」はみぞおちの痞えを除くことを指すが、心下部にうっ滞した気を瀉して気の流通を良くするという意味もある。そのため、瀉心湯類はストレス性の症状に用いる機会が多く、神経性胃炎や神経症などによく用いられる。腹鳴(腹がグルグル鳴る)を伴う 下痢型の過敏性腸症候群 にも応用される 。
▢悪心・嘔吐に用いる漢方薬
小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)
茯苓沢瀉湯(ぶくりょうたくしゃとう)
五苓散(ごれいさん)
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
生姜瀉心湯(しょうきょうしゃしんとう)
甘草瀉心湯(かんぞうしゃしんとう)
黄連湯(おうれんとう)
小柴胡湯(しょうさいことう)
大柴胡湯(だいさいことう)
呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
四逆湯(しぎゃくさん)
葛根黄連黄芩湯(かっこんおうれんおうごんとう)
乾姜黄連黄芩人参湯(かんきょうおうれんおうごんにんじんとう)
など