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ご相談事例

口内炎|漢方症例

消化器系の不調

|口内炎

40代
以前から口内炎を繰り返しており、食事中に口の中をかんでしまうことも多く、それをきっかけに悪化し、十分に治りきらないまま再発を繰り返す状態が続いていた。
食生活は外食が中心で、甘いものや脂っこい食事を好む傾向がある。
また、下痢を起こしやすい体質で、日常的に頭痛もみられていた。

口内炎は口の中のトラブルとして捉えられがちだが、実際には体調の影響を強く受ける症状でもある。
咬傷(こうしょう:口の中をかんでしまうこと)は明確なきっかけとなるが、その背景には、粘膜の状態、特に内頬の浮腫を含めた局所の循環状態や、体全体の状態が関わっている。

一般的には、鉄や亜鉛、葉酸、ビタミンB12などの栄養状態の偏りが関与することがあり、補うことで改善することもあるが、それだけでは十分でないケースが多い。

また、西洋医学的には口内炎に対して、アフタッチやケナログ口腔用軟膏、デキサルチン軟膏などを用いて炎症を抑える治療が中心となる。
必要に応じて、うがい薬などを併用し、口腔内の環境を整えることで二次感染の予防が図られることもある。
これらは患部の炎症や痛みを速やかに軽減するうえで有用である一方で、繰り返す場合には背景要因を踏まえて対応していくことが重要となる。

本症例では、口腔内の状態として内頬の腫れぼったさがみられ、歯列に触れやすく、咬傷を繰り返しやすい状態であった。
このような状態では、日常的な咀嚼(そしゃく)の中でも粘膜が擦れやすく、口内炎の誘因となっていたと推察された。

さらに、下痢を起こしやすい体質という点から、消化管機能の不安定さが続いていた。
消化管は栄養の吸収や粘膜の維持に関わるため、その働きの乱れに加え、炎症傾向や粘膜の過敏な状態が重なることで、口腔粘膜にも影響していたと考えられる。
漢方的には、このような状態は「胃熱」と表現されることがあり、粘膜の炎症が起こりやすい一因となっていたと捉えている。

このように本症例では、消化管機能の低下を背景に、口内炎を繰り返しやすい状態が形成されていると推察した。

そこで今回は、胃腸の働きを整えることを軸とし、全身状態の安定化を図ることで、口内炎を発症しにくい体質づくりを目標として煎じ薬を選定した。
消化管機能を立て直すことで水分代謝や消化吸収機能を高め、粘膜の回復しやすい状態へ導くとともに、内頬にみられた浮腫の改善を図り、歯列への接触を減らすことで咬傷そのものが起こりにくい状態へ導くことを目標とした。

服用開始後、徐々に下痢の頻度は減少し、体調の波が小さくなっていった。
それに伴い口内炎の出現頻度も減少し、約1カ月の時点ではほとんどみられなくなった。
あわせて顔のむくみも軽減し、口腔内の咬傷も起こりにくくなっていた。
口内炎の改善に加え、体調全体の安定が得られたことについて、ご本人も変化を実感されていた。

漢方療法と並行して、食生活についても見直しを行っている。
口内炎に対しては一般的に刺激の強いものや硬いものを避けることが基本となるが、本症例では下痢傾向も踏まえ、甘いものや脂質の多い食事を控えめにするよう伝えた。
また、食べ過ぎを避けること、冷たい飲食物を取りすぎないこともあわせて提案している。

これらは厳しい制限ではなく、体調を安定させるための調整である。

本症例は、口内炎という局所の症状に対して、炎症そのものへの対応だけでなく、体全体の状態を整えることで再発の抑制につながった一例である。
症状だけを追うのではなく、「発症しにくい状態をつくる」という視点が重要である。

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