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ご相談事例

パニック障害|漢方症例

自律神経系の不調

パニック障害

30代
当初はむくみやめまいを主訴として、遠方よりお電話でご相談を受けた患者さまである。
以前にパニック障害と診断を受けていたが、薬物療法に対する抵抗感が強く、積極的な治療には踏み切れていなかった。

電車や高速道路など、すぐにその場を離れられない状況において不安が強まり、動悸、息苦しさ、めまい、発汗、手足のしびれなどの症状が出現していた。
発作としては典型的であり、日常生活にも影響が出る場面がみられていた。

発作時の経過を詳しく伺うと、環境の変化に伴い、呼吸・心拍・筋緊張といった身体反応が先に現れ、その変化そのものが不安を増幅させているようにみえた。
※ここでいう身体反応とは、呼吸の変化や心拍の上昇、筋肉の緊張など、自律神経系の働きによって生じる生理的な反応を指す。

パニック発作は「不安 → 身体反応」だけでなく、「身体反応 → 不安の増幅」という双方向の連鎖として生じていると考えられる。
原因については、神経伝達物質や脳内の恐怖反応系の関与が指摘されているが、明確な原因が一つに定まっているわけではない。

西洋医学では、抗うつ薬や抗不安薬によりこの過剰な反応を抑制し、あわせて認知行動療法によって不安への捉え方や行動の修正を行う。
これにより症状のコントロールが可能となるケースも多いが、薬物療法に対する抵抗感や、服用中止後の再燃への不安から、治療の継続に悩まれる方も少なくない。

パニック障害では、発作そのものよりも、その後に生じる予期不安と回避行動によって増悪していく傾向がある。
この予期不安は、過去の発作の記憶だけでなく、「再び身体があの状態に入るのではないか」という身体感覚への不信感とも関係している。

今回の患者さまにおいても、不安が高まると全身症状が一気に立ち上がる点に加えて、「常にどこか力が入っている感じがする」「気づくと体がこわばっている」といった訴えがあり、普段から持続的な緊張状態が存在していた。

この時点で問題となっているのは「不安の強さ」そのものではなく、身体が過剰に反応し続けてしまう状態にあることである。
そのため、不安を抑えることを目的とするのではなく、身体反応の過敏性に注目し、増幅が起こりにくい状態に整えることを方針とした。

煎じ薬開始後、数日で変化がみられた。
患者さまからは「不安が来ても、そのまま広がっていかない感覚が出てきた」との言葉が聞かれ、これまでのように一気に全身症状へ移行することが明らかに減少した。
この変化は、「不安が弱くなった」というよりも、身体が反応し続けない状態になったことで、不安が持続・増幅するという流れが崩れた結果と考えられる。

現在、身体反応の過敏さは明らかに落ち着いており、日常生活における不安の広がりも軽減している。
今後も経過をみながら、過剰な反応が起こりにくい状態の安定化を目指し、継続中である。

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