症例①
40代 女性
約1カ月前に新型コロナウイルスに感染して以来、体調が戻らないと相談に来られた。
咽頭痛は既に改善していたが、痰を伴う咳、倦怠感、食欲不振が続き、熟睡できない状態であった。
食事は十分にとれず、ゼリーのみで済ませることもあった。
精神不安の自覚はあるものの、顕著ではなく、全体的に疲れきって覇気がない「気虚」の状態がみられた。
普段はめったに風邪をひかないが、疲労が蓄積すると今回のように遅延化する傾向があると話された。
柴胡剤も考えられたが、今回は補剤を選択することにした。
十全大補湯では呼吸器症状など捗々しくないため別の方剤を選定した。
約2週間の服用で体力は回復し、食欲も戻ったが、痰の絡みによる寝苦しさは残っていた。
そこで温胆湯加減方を調合し、更に2週間服用後には痰も消失し、安眠できるようになった。
服用期間は計1カ月で終了した。
▢虚労、倦怠感に用いる漢方
滋陰降火湯(じいんこうかとう)
四君子湯(しくんしとう)
六君子湯(りっくんしとう)
人参養栄湯(にんじんようえいとう)
帰脾湯(きひとう)
加味帰脾湯(かみきひとう)
黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)
帰耆建中湯(きぎけんちゅうとう)
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
清暑益気湯(せいしょえっきとう)
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
など