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温病

2025.06.20 漢方

最高気温が35℃以上の猛暑日となるなど、各地で6月中旬とは思えない暑さになっています。そして熱中症とみられる救急搬送も真夏並みで、6月としては異例の多さとなっているようです。
夏の暑さが厳しく、過度に発汗し疲労することで、体表・咽喉部・気管などでは津液(体液)の不足を招くことになります。そのまま秋を迎えて風邪をひくと、体液不足のために口や咽喉が渇いて咽頭痛を発症すると考えられています。
東洋医学には、病状が次の季節まで潜伏して発病することを意味する「伏気」「伏暑」などという言葉があります。
そして、このように陰分(体液、血液等の基本的構成成分)不足による熱性症状を「温病」と言います。
通常、風邪のごく初期には軽い悪寒がありますが、温病の初期には発熱はあっても悪寒は無く、口渇があり喉が痛く、舌尖紅色(舌の先が赤くなる)となる特徴があります。
漢方医学の聖典『素問』『傷寒論』の時代には既に温病の記載があります。ところがそれ以後、温病学の発展は遅々とし、明代後期になってようやく温病の専門書『温疫論』が著されました。
この頃まで急性病の治療は傷寒論中心でしたが、傷寒論の治法で治らない症状があることに気づき始めたことによります。
通常の風邪症状とは異なり、葛根湯や麻黄湯などの発表薬を用いると更に体液不足を招いてしまいます。そのため、陰分不足を引き起こす風邪や流感を「温病」として区別するようになったのです。
夏の暑さ対策は熱中症予防にとどまらず、一年を通しての健康管理としてとても大切なのです。

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